時節因縁(じせついんねん)

因縁とは、もともとあった因と、それに対して外部からの影響や条件が及ぼす縁により、物事が生じていると考えるものです。仏教の根本的な考え方でもあります。また、すべての現象は、原因と条件が相互に関係し合って生じているのであり、何一つ独立して存在しているものはないという考え方にも繋がります。
時節とは、その時々のことで、さまざまな原因にさまざまな条件が重なり合って、今の状況になっていると考えます。

春に花が咲くためには、その時節に至るまでの基本的な原因(内的原因)、例えばそれは花の種であり、それに対して、土の養分、水、日光、時間などの「縁(外的原因)」によってお互いに影響しあい、結果として花が咲くのであります。
また、その原因や影響のどれ一つも欠けて花は咲くことができません。花が咲くということは、当たり前のように思いますが、実は、数え切れないほどの偶然が重ねって、はじめて花が咲くのです。

そのように考えると、未来というものは何も決まっていないということがわかります。良き原因と、良き条件が重なることによって、良い未来が生じてくるものではないでしょうか。

今月の禅語(令和6年11月)

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