
一切皆苦(いっさいかいく)
この世の一切は苦である。
ここでいう「苦」とはもともとサンスクリット語の「ドゥフカ」という言葉が語源です。その意味は、思うようにならない、欲するようにならない、願うようにならない、そして避けられないということです。つまり、ここでは、「私たちが生きている世界は、自分の思い通りにはならないことばかりである」といった意味となります。
よく、大変な苦労をすることを、「四苦八苦する」といいます。「四苦八苦」は仏教語で、「生老病死」の四苦、さらに「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五蘊盛苦」を合わせた八苦がそれにあたります。
四苦とは
・生…生まれること
・老…老いていくこと
・病…病気になること
・死…死ぬこと
そして、さらに
・愛別離苦…愛する人と別れなければならないこと
・怨憎会苦…会いたくない人と会わなければならないこと
・求不得苦…求めても求めることが出来ないこと
・五蘊盛苦…五蘊とは、色(形あるもの)、受(感覚)、想(認識)、行(意志)、識(心・判断)、自分の体や心。
これらは、全て思い通りにならないのです。
お釈迦さまは、全ての形あるものは自分の思うようにならないと考えました。
全てのものは常に移り変わっていて、自分の思うようにはならない。だから、全てが私でもなければ、私のものでもないのです。
これまで見てきた、「諸行無常」「諸法無我」と今月の「一切皆苦」を合わせて三宝印となります。これが仏教の基本的な考え方なのです。
今月の禅語(令和5年8月)