發菩提心(ほつぼだいしん)

悟りを開こうとする気持ちをもって、仏門に入ろうと決意すること。
菩提心とは、菩提を求める心。菩提とは仏様のお悟りのこと。發菩提心とは、悟りを求めて修行をしようとする心を起こすことをいいます。
思い立って物事を始める事を「発心」と言うことがありますが、これも發菩提心と同じことです。

仏教では、発心して・修行して・菩提を得て・涅槃に至る、と考えます。
發菩提心・発心(悟りを求めようと決意して)
修行(仏の生き方を実践して)
菩提(仏の悟りを得て)
涅槃(自らが悟りの境地に至る)

しかし、これは一回、悟りを得て涅槃の境地に至れば、それで良いということではないようです。
というのは、どんなに悟りの境地に至っても、そこで修行をやめてしまえば、また元に戻ってしまうと考えるからです。
いくら修行をして仏と同じ境地を得たとしても、そこで立ち止まるのではなく、初心にかえり、もう一度発心して、さらに修行をして、菩提を得て、涅槃に至らなければならないのです。
このを繰り返すことが大切なのです。

道元禅師は、正法眼蔵、「發菩提心」(發無上心)という巻の中で、「一發菩提心を百千万發するなり」と示されております。
一回の發菩提心を何度も何度も繰り返し繰り返し起して、さらに百千万回起こすべし、と言っているのです。

目標を定めて、たとえその目標を達成したと思っても、そこに留まらず、さらにその先を目指して新たな目標を立てる。あるいは、目標を立てても、途中で挫けてしまうこともあります。何度も壁にぶつかることがあるでしょう。それでも、何度も何度もそれを繰り返すのです。
發菩提心の心を、命が尽きるまで、繰り返し起こすことが大切である。これが禅の教えであります。

今月の禅語(令和5年1月)

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